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2017/04/04
【開催報告】対馬がむすぶ山口・プサン・博多:ボーダー研究と異文化共存の実践ワークショップ(2017年3月24日)

COC(地(知)の拠点事業)セミナー
「対馬がむすぶ山口・プサン・博多:ボーダー研究と異文化共存の実践ワークショップ」開催報告

 2017年3月24日、九州大学西新プラザにて、多くの参加者が集まり「対馬がむすぶ山口・プサン・博多:ボ-ダー研究と異文化共存の実践ワークショップ」が開催された。
 最初に、安渓遊地教授(山口県立大学国際文化学部)より、フルートの演奏から始まる面白い開会の挨拶と趣旨説明が行われた。
 次に、アダム・セリグマン教授(ボストン大学所属、山口県立大学客員教授)により最初の基調講演が行われた。タイトルは、”Living with Difference : A proposal for constructing a new CEDAR program in Transborder East Asia”(違いを保ってともに生きる:東アジア国境地域での新たなCEDARプログラムの提唱)であった。セリグマン教授は長い経験に基づき、異なる宗教や信条をもつ人々が、違いに目を逸らすのではなく、違いを正面から取り上げ2週間程度一緒に暮らす経験を通し、相互理解や共存の知恵をかん養することができると主張した。その「合宿」の仕組みやルールなどについて詳しく説明され、例えば、参加者は自分が所属する集団だけがひどい経験をしているのだから他の人々から特別扱いされるべきだ、という態度を見せてはいけないといったルールがあるという。セリグマン教授の経験は主に宗教的対立と関わっているようだが、歴史や領土を巡る対立が強い北東アジアにおいても十分応用できそうである。
 続いて、岩下明裕教授(九州大学アジア太平洋未来研究センター・北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター)の「ボーダーツーリズム:九州・山口から韓国・東北アジアを結ぶ」と題した基調講演が行われた。岩下教授は長い研究と活動に基づく「ボーダー研究」という学問的領域から出発し、観光という実社会生活の一領域と接続するに至った経緯について、面白いエピソードを交えながら説明を行った。

 コーヒーブレイクを挟み、4人の討論者(安渓教授、岩下教授、花松泰倫(九州大学講師)、山口県立大学学生)が参加するラウンドテーブルが行われた。ラウンドテーブルでは国境観光の現状や発展可能性について議論され、特に大学生などの若者にこのような仕組みがもたらしうる効果について言及した。例えば、今回山口県立大学の学生らによる「山口-プサン-対馬-博多」におよぶ国境観光の実践は、観光が、未知のところへ行ってみたという単純な好奇心の充足にとどまらず、境界の両方に住みながら協力も対立も経験している人々の生活について理解を深める良い経験になりうることを、よく示していた。

(2017/03/31. Park Jong-Seok記)

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